Q&A

肩関節のスポーツ障害

少年野球選手の肩、肘障害の予防は?
1)野球による外傷・障害の特徴
社会人野球選手に対するスポーツメディカルチェックの結果、肩関節(26%)肘関節(25%)腰(21%)が主な部位であり、投球およびスイング時の障害が多いのが特徴です。野球は競技開始年齢が低く、それに伴う障害も多く見受けられます。このため、1980年に全日本野球連盟により少年野球に関する特別規則が設けられました。以下に掲載しますので、スポーツ指導者、保護者の皆様は一度お読みください。

2)野球選手の外傷・障害の予防
1980年の少年野球での変化球を禁止する特別規則が制定されたことにより、野球肘予防に多大な効果をあげました。しかし、その後も投球過多による野球選手の肩、肘障害は依然問題となっています。今後、以下に掲載いたしました提言を踏まえ指導者、医師が一体となって予防に取り組まないといけません。

A. 1980年に全日本野球連盟により少年野球に関する特別規則(抜粋)
① 学童部の選手は変化球を投げることを禁止する。(変化球を投げたときはペナルティがあります。)
② 学童部の投球は、過度の投球数にならないように、特に指導しなければならない。
③ 少年・学童部とも1日2試合を限度とする。
④ 少年二部・学童部の試合をナイターで実施する場合は終了時間を原則20時までとする。

B.1995年日本臨床スポーツ医師会、青少年の野球障害に対する提言(抜粋)
① 野球肘の発生は11-12歳が、野球肩は15-16歳がピークであるので、肩肘の痛みと動きの制限、投球フォームの変化に注意を払うこと。
② 野球肩、野球肘の発生頻度は圧倒的に投手と捕手に多いので各チーム投手捕手をそれぞれ2名以上育成しておくことが望ましい。
③ 練習日数と時間について:小学生は週3日以内、1日2時間を超えないこと。中・高生は週1日の休養日をとり、個々の成長、体力、技術に応じた練習を行う。
全力投球は、小学生では1日50球以内、試合を含めて週200球をこえないこと。中学生では1日70球以内、週350球をこえないこと。高校生で1日100球、週500球をこえないこと。なお、1日2試合の登板は禁止すべきである。
⑤ 練習前後は十分なウォーミングアップとクールダウンを行うこと。
⑥ シーズンオフを設け、野球以外のスポーツを楽しむ機会を与えることが望ましい。
⑦ 野球における肘・肩の障害は、将来重度の後遺症を引き起こす可能性があるので、その防止のためには、指導者との密な連携のもとでの整形外科専門医による定期検診が望ましい。