Q&A

腰の痛み

硬膜外ブロック、神経根ブロックなどの注射は一時しのぎの治療でしかないのでは?
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などでは、腰の脊髄から下肢(脚)に行く神経(神経根)がヘルニア、骨棘(こつきょく:ほねのとげ)などで圧迫を受け、その神経根(しんけいこん)が炎症を起こし、腫れた状態になり、痛みやしびれ、ひどい場合は下肢の筋力低下などが起こります。よって手術以外ではこの神経根の腫れを抑えるのが治療の大きな目的となります。
そこでその神経根の腫れをおさえるのに効果的な治療法として硬膜外(こうまくがい)ブロックや神経根ブロックなどがあります。これらのブロックは下肢の神経症状で特に痛みの軽減に有効です。硬膜外ブロックとは脊髄とその後方の黄色靭帯(おうしょくじんたい)の間の硬膜外という空間に注射の薬(麻酔薬や神経の腫れを抑えるステロイド)をいれることになります。薬はその空間全体に広がり神経の腫れを抑えることになります。硬膜外ブロックには腰部からおこなう腰部硬膜外ブロックと殿部の中心にある仙骨(せんこつ)から針をさす仙骨硬膜外ブロックがあります。当クリニックで行う仙骨硬膜外ブロックを例にとると、1週間に1回で計4から5回ほど行えば、約7割ほどの患者さんの痛みが治まります。最初の痛みを10とすれば、その痛みは1週間後に8、2週間後に6、3週間後に4、4週間後に2と徐々に痛みが軽減してきます。神経の腫れが収まるまで、約1ヶ月かけて治療を行います。確かにヘルニア、骨棘などを手術と違って切除しているわけではありませんから、患者さんによっては再発の可能性はあります。しかし、再発への期間は患者さんによってそれぞれですが、中には再発まで数年を要した、今のところは再発していないという患者さんの方が手術に至った患者さんと比較しても圧倒的に多いのです。よってまずは手術というわけではなく、ブロックなどの保存加療で痛みを軽減、消失することによって快適な日常生活への復帰を目指します。
ただし、上記のブロックを中心とした保存加療で良くならない場合や突然の下肢の筋力低下(下肢の運動麻痺)や排尿や排便に異常(膀胱直腸障害)が出現した場合は手術を行います。