腰椎椎間板ヘルニアでは腰や殿部が痛み、下肢にしびれや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。背骨が横に曲がり(疼痛性側弯:とうつうせいそくわん)、動きにくくなり、重いものを持ったりすると痛みが強くなることがあります。
椎間板は繊維輪(せんいりん:椎間板周囲の硬い皮のような組織)と髄核(ずいかく:椎間板内部の比較的やわらかい組織)でできていて骨と骨をつなぎ、クッションの役目をしています。その一部が出てきて神経を圧迫し症状がでます。
椎間板が加齢などにより変性し、断裂して起こります。悪い姿勢での動作や作業、喫煙が原因となることもあります。
下肢伸展挙上試験(膝を伸ばしたまま下肢を挙上し坐骨神経痛の出現を見る)や下肢の感覚が鈍いかどうか、足の力が弱くなっていないかなどで診断します。さらに、レントゲン撮影、MRIなどで検査を行い診断を確定します。ただし、MRI画像で椎間板が膨らみだしていても、症状がなければ多くの場合問題ありません。
痛みが強い時期には、安静に心がけ、コルセットをつけたりします。また消炎鎮痛薬を飲んだり、硬膜外ブロックや神経根ブロック(神経の周りに痛みや炎症を抑える薬を注射します)を行い痛みをやわらげます。腰を温めるのもよいでしょう。痛みが軽くなれば、牽引を行ったり、運動療法を行うこともあります。これらの方法で良くならない場合や下肢の脱力、排尿障害があるときには手術をおすすめすることもあります。