骨粗鬆症が進行すると骨折を招きます。代表的な骨折とその部位は
1)大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)骨折:太もものつけ根(転倒したときなど)
2)橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折:手首(転んで手をついたときなど)
3)脊椎(胸椎、腰椎)圧迫骨折:背骨(尻もちをついたときなど)
4)上腕骨頚部(じょうわんこつけいぶ)骨折:腕の肩のほうの付け根(転んで肩を強打したとき)
などです。
骨粗鬆症で骨が弱くなっても、最初は痛みなどがないので、見逃してしまうことが少なくありません。
骨粗鬆症が進行し、まず骨が折れやすいのが脊椎(背中の骨)で、からだの重みに耐えられずにつぶれてしまうことがあります(椎体骨折)。背中や腰が曲がることが多いのですが、症状がない人もいます。脊椎がつぶれて背中が丸くなると、身長が縮み、胃や肺などの働きが悪くなることがあります。
さらには、ささいな動作や衝撃で転倒し太もものつけ根(大腿骨頸部)を骨折すると、そのまま放置しておけば寝たきり状態になり、肺炎、認知症、床ずれなどいろいろな合併症を引き起こし、それこそ命の危険を伴うため、多くの患者さんは手術をうけざるをえません。
高齢者にとっての骨折は、リハビリなどに時間がかかり長期療養を余儀なくされます。その療養場所はさまざまですが、入院療養であればその間からだを動かさないため衰弱して寝たきりや認知症などの介護が必要になるケースも少なくありません。
骨折を防ぐためには、骨粗鬆症を早く発見し、住宅の環境を見直したり外出時に注意することが大切です。