Q&A

体のしびれ

両方の上肢から手指、体幹(身体の腹部側と背中側の両方)、さらに両方の下肢から足の指や足底部がしびれます。特に足底部のしびれは、ものが張付いた感覚で違和感があります。
また手指の動きが悪くなり、ボタンかけがしにくくなってきています。
どんな病気が考えられますか?
頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニアの脊髄症などの可能性を疑います。
頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニアの脊髄症を詳しく説明します。

●頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニアの脊髄症

1)脊髄症状

両方の上肢から手指、体幹(身体の腹部側と背中側の両方)、さらに両方の下肢から足の指や足底部がしびれます。(特に足底部のしびれは、ものが張付いた感覚で気持ち悪いと患者さんは訴えられます。)
手指の動きが悪くなったりします。たとえば、ぼたんかけがむずかしくなる、はしで食べ物をつかみにくい、字が書きにくいなどの手指巧緻(こうち)障害が出現します。
ひどくなると両下肢の力がはいりにくく、膝が抜けたような歩き方になります。また両足が前に出にくくなったり、階段をおりるのがこわくなり、手すりなどを必要とします。
これを下肢痙性麻痺(けいせいまひ)歩行といいます。
また排尿や排便に異常が出ます。(膀胱直腸障害)
これらは頚椎(首の骨)の中を走る太い神経(脊髄)が障害されることによるものです。

2)脊髄症の原因・病態

背骨をつなぎ、クッションの役目をしている椎間板の変性が進むと椎間板にひびが入ったり、椎間板が徐々につぶれてくるなどの変形をきたします。椎間板軟骨の一部が後方に突出したのをヘルニアといいます。
椎間板の変性が進むと、それに伴い骨が変形して骨の出っ張り(骨棘:こつきょく)が生じたり、背骨をつなぐ靭帯が厚みを増してくるなどの変形が起こります。
これらによって頚椎の中を通る中枢神経である脊髄の通り道(脊柱管)が窮屈になり、脊髄本管が圧迫されると脊髄症を生じることになります。

●椎間板ヘルニアにより脊髄本管が圧迫されると頚椎椎間板ヘルニアの脊髄症(せきずいしょう)を生じることになります。

●椎間板の変性などに伴い骨が変形して形成される骨の出っ張り(骨棘)や背骨をつなぐ靭帯が厚みを増して脊髄本管が圧迫されると頚椎症性脊髄症を生じます。

椎間板から突出したヘルニアにより脊髄本管が圧迫されるものを頚椎椎間板ヘルニアの脊髄症、骨棘と背骨をつなぐ靭帯が厚みを増して脊髄本管が圧迫されるものを頚椎症性脊髄症といいます。

3)診断

症状からその可能性が考えられる場合は、単純レントゲン撮影を行うことで、頚椎から突出する骨(骨棘)を確認することができます。ヘルニアや脊髄への圧迫などはMRI検査により調べます。