Q&A

肩関節のスポーツ障害

投球時の肩の痛みが続いています。少し休むと痛みが楽になる時があるのですが、このまま続けていいですか?
  肩峰下滑液包炎、腱板炎やインピンジ症候群を発症し肩の痛みやひっかかり感を感じた場合でもすぐに投球中止(ノースロー)とし、肩を安静にすれば多くは約1から2週間以内でふくろや腱板の腫れや痛みはおさまってきます。その後筋力トレ-ニングやストレッチなどを行い(約2週間)、痛みが再び出なければ、投球を再開してもかまいません。
 しかし、痛みを我慢したり、痛み止めを打ちながら投げ続けると、やがて関節窩のまわりの関節唇(かんせつしん)とよぶクッションが傷ついたり、腱板自体(腱板炎)の腫れが波及し、最後には腱板自体が裂けてしまうことがあります。(腱板断裂)腱板は一度裂けてしまうと安静にしてもなかなか治りにくいため、手術をしても投手を続けることはむずかしくなってしまいます。 
 無理をして腱板が傷つくと、合流してくる4つの筋肉がお互いのバランスを保って収縮(しゅうしゅく:ちぢむ)することができなくなります。すると大きなボールである骨頭は小さな受け皿の上で、バランス良く安定して良い位置にいることができなくなり、支えている太いひもの部分(関節上腕靭帯-関節唇-関節窩縁複合体)に大きなストレスが加わります。さらにその状態で投球を続けると傷がだんだんと大きくなり、不安定になってきます。肩がはずれそうになると肩には痛みがはしり、この痛みにより腱板はさらに緊張し、腱板のバランスを保った収縮をさらに妨げるという悪循環を生みだしてしまいます。このような使いすぎのことをオーバーユースと呼びますが、このオーバーユースの悪循環を断ち切ることができない限り生じた傷(きず)を治すことはできず、最終的には回復が不可能な深い傷になってしまうのです。
 野球肩の現在の症状と照らし合わせ、整形外科医とよく相談の上、投球の再開時期を決定されればいいと考えます。