Q&A

肩関節のスポーツ障害

ボールがリリースされてから腕を振り切るまで、右肩の違和感を感じます。どんな障害が考えられますか?
  投球動作のボールがリリースされてから腕を振り切るまでの期間をフォロースルー期と呼び、この期間での肩の違和感や痛みがあれば、後方関節唇損傷やベネット損傷の可能性を考えます。 
 フォロースルー期で、ボールをリリ-スするときには同時に腕全体も放り投げてしまうような状態になるため、筋肉【上腕三頭筋(上腕部の後方にあり肘を伸ばす筋肉)など】や後ろの関節包・関節唇はこれを支えようとします。そのときに、後方の関節唇を傷めてしまうことがあります。(後方関節唇損傷)
 また、これらのすじが付いている受け皿の後下方のどての部分(関節窩)に引っ張ろうとする力が加わるため、この部分の骨が盛り上がってきます。長年野球を続けている選手では、このような骨の盛り上がり(骨棘:骨のとげ)はよくみられますが、通常痛みを伴うことはありません。しかしながら、フォロースルーのさいに、肩の後ろにどうしても痛みが続く場合には、これをベネット損傷(有痛性ベネット病変)と呼んで手術的にこの骨を削ることがあります。