小学生と高校3年生の息子が二人いて、どちらも野球をしているのですが、投球時、徐々に肘の内側(小指側)が痛いと言っています。病院に行くとどんな検査や治療をされるのですか?
代表的な内側型野球肘は上腕骨内側上顆骨軟骨障害(じょうわんこつないそくじょうかこつなんこつしょうがい:リトルリーグエルボー)と肘内側側副靭帯損傷(ひじないそくそくふくじんたいそんしょう)です。
上腕骨内側上顆骨軟骨障害は11歳、12歳未満に多く起こります。
肘内側側副靭帯損傷は15歳から17歳以降に多く起こります。
ご質問の小学生の息子さんは上腕骨内側上顆骨軟骨障害の可能性を疑います。検査はレントゲンや超音波診断装置(エコ一)で骨軟骨障害を調べることができます。エコ一では、レントゲンで写らない軟骨部分の障害も調べることができます。
上腕骨内側上顆骨軟骨障害だと診断された場合、治療は、痛みのある期間のみ投球動作を中止します。バッティングや捕球練習は痛みがなければ可能です。約2~3週間で痛みが消失します。その後、軽いキャッチボールから練習を開始し、約2週間後にチ-ム練習の復帰が可能となります。最初の診察で痛みや腫れが非常に強い場合はギプスなどの固定を行うことがあります。
まれに遠投などの1回の強い外力で発生する上腕骨内側上顆の剥離骨折型は場合によってはギプス固定や手術を要することがあります。
高校三年生の息子さんは、肘内側側副靭帯損傷の可能性を疑います。内側側副靭帯の障害はレントゲンでのストレス撮影や超音波診断装置(エコ一)で診断がつきます。エコ一では靭帯そのものを見ることができ、靭帯が腫れている、または切れている、どこで切れているかなどもわかります。エコ一でのストレス撮影も行うことができて、靭帯が切れている場合は肘の関節が開くのを健側(けんそく:損傷のない側の肘)と比較し確認することができます。
肘内側側副靭帯損傷だと診断された場合、初めての肘内側部痛であり、発症して間がない場合には、ノ-スロ-や固定等の保存加療を行います。保存加療で良くならない場合で、競技復帰へ強い意志を持つ肘内側側副靭帯の断裂に対しては靭帯再建術を行います。
ただし再建した靭帯は決して正常の靭帯に勝ることはなく、選手生命も短くなる可能性があることも覚悟しなければなりません。その意味で成長期に肘内側側副靭帯を損傷しないように予防することが、きわめて重要です。