スキ一で軸足となった膝に前方方向に膝がずれるような感じで、内側にひねり倒れました。受傷時ブッチという音が鳴り、膝の痛みが強く、また受傷後より膝がすごくはれています。その後、歩いていると、時々膝くずれを起こすことがあります。どんな障害が考えられますか?
上記の症状から膝の前十字靭帯(ACL)損傷の可能性が考えられます。
受傷時、激痛とともにブチッという断裂音を体感することもあります。数時間以内に関節が著しくはれ、関節血腫を認めます。
前十字靭帯は膝の関節の中にあるので、切れるとそこからの出血が膝にたまるのが特徴です。半月板損傷は40~60%に合併します。
急性期(受傷後3週間くらい)には膝の痛みと動きの制限がみられます。
急性期を過ぎると痛み、腫れ、膝の動きの制限はいずれも軽快してきます。しかしこの頃になると損傷の程度によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。これは下り坂やひねりの動作の際にはっきりすることが多いです。
急性期よりさらに時間が経過すればジャンプや急な方向転換を要するスポーツ動作で膝くずれを繰り返すことがあります。不安定感があるまま放置しておくと新たに半月板損傷や軟骨損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れ(関節水腫)が出現します。
診断はまずLachman test(ラックマンテスト)などの徒手検査を行います。(詳しくは前十字靭帯(ACL)損傷の項に記載しています。)
単純レントゲン写真で、膝周囲の骨折の有無につき調べ、骨折がなければ、膝を軽く曲げた状態でのストレス撮影で脛骨(けいこつ:すねの骨)の前方引き出しを健側(けんそく:痛くない側の膝)と比較し、損傷の有無を調べます。
また前十字靭帯(ACL)はMRIではっきりと描出できます。MRI像では靭帯実質部の断裂像である靭帯部分のふくらみと輝度変化を認め、また半月板損傷合併の有無も同時に評価できます。
関節のはれが強い場合は、膝の血を抜くことがあります。
もちろん、前十字靭帯(ACL)損傷とともに、半月板損傷、内側側副靭帯(MCL)、後十字靭帯(PCL)損傷の損傷の合併の有無を確認することが重要です。