半月板は膝関節の大腿骨(だいたいこつ:ふとももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間にあるC型をした軟骨の板で、内側・外側それぞれがあり、クッションの役割を果たしています。
ときに半月板がC型ではなく内部が埋まり円板状のようになっているものがあります。これを円板状半月板といいます。
受傷原因は、下腿が固定され体重がかかった状態で曲げた膝関節に異常な回旋力(ひねり)が加わると、半月板の一部が脛骨(けいこつ:すねの骨)と大腿骨に間に挟まり損傷を受けます。
スポ一ツなどのけがから生じる場合では、体重が加わった状態でのひねりや衝撃によって半月板だけが損傷するものと、靭帯損傷に合併して起こるものとがあります。具体的にはジャンプの着地の失敗、スパイクが引っかかっての転倒、スクワット動作で膝を捻ったときなどです。
①痛み
大半の例が運動時の痛みを訴えます。半月板の後方部の損傷では、膝を深く曲げた状態から立ち上がる時に痛みを覚える例が多いようです。
②嵌頓(かんとん)症状(ロッキング)
半月板の断裂片が大腿骨と脛骨の間に挟まって、突然膝の曲げ伸ばしができなくなることをいい、半月板損傷の典型的な症状です。
特に辺縁部の断裂では、断裂した半月板が大腿骨と脛骨の間にはさまって、膝を曲げたまま伸ばすことが不能となることがしばしば起こります。(ロッキング、嵌頓:かんとん)。このような断裂形態をバケツ柄状断裂とよび、膝がロッキング、嵌頓をきたす原因として最も頻度が高い断裂です。
③弾発現象(だんぱつげんしょう)
膝の曲げ伸ばしに際してある角度でひっかかり、そこを越えるとカクッとはずれて再びスム一スに動く現象をいいます。「ひっかかる感じがする」とか「膝の曲げ伸ばしに際して音がする」などと訴えます。
④運動制限
嵌頓(かんとん)や弾発現象とは別にある角度以上の膝の曲げ伸ばしが障害されることがあります。少年で膝の最大伸展(しんてん:膝ののび)が障害されている例は、その大半が円板状半月板の損傷と言われています。
⑤関節水症、関節血腫
「関節に水がたまる」症状で、慢性例の運動後に時折みられます。
損傷が半月板辺縁まで及んでいる場合は関節血腫(関節に血がたまる)を認めることがあります。ただし半月板単独損傷では前十字靭帯損傷時のような大量の出血をきたすことはありません。
⑥大腿四頭筋委縮(だいたいしとうきんいしゅく:筋肉のやせ)
半月板損傷に特有の症状ではありませんが、症状の強い例ほどまた、経過が長い例ほど大腿四頭筋(太ももの前方の筋肉)が健側(損傷のない側の太もも)と比べて、やせているのが明らかとなります。
受傷機転とその後の症状の経過が重要です。
①関節裂隙(かんせつれつげき:骨と骨の間のすきま)の痛みを認め、膝を最大限に曲げ伸ばしすると損傷部付近に痛みが誘発されます。
②徒手検査を用いて、痛みやクリックを誘発します。
McMurray(マクマレー)テスト
膝を最大限に曲げた状態で内側と外側の関節裂隙(れつげき:骨と骨の間のすきま)に医師が手指を当て、下腿にひねりのストレスを加えながら膝を伸ばした時に痛みが誘発され、関節裂隙に当てている医師の手指に半月板の動きやクリックを触れます。
③ 画像検査診断
単純レントゲン写真では半月板は写りません。病状や診察で半月板損傷を疑えば超音波診断装置(エコ一)検査やMRI検査を行います。エコ-やMRIはともに非侵襲性で、またMRIは半月板損傷の病態や合併する靭帯損傷の診断にも有用です。