アキレス腱断裂は、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作でふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋:かたいさんとうきん)が急激に収縮(しゅうしゅく:ちぢむ)したときや、着地動作などで急に筋肉が伸ばされたりした時に発生します。腱の退行性変性(いわゆる老化現象)が基盤にあると考えられています。
30~50歳のスポーツ愛好家に多く、レクリエーション中の受傷が多いのが特徴です。バレーボール、テニス、バトミントン、ソフトボールなどでの受傷が多くみられます。
受傷時には『ふくらはぎを棒でたたかれた』とか『後ろからボールが当たった』などと感じることが多く、腱が断裂したときの音(バチッとかパンとか)を自覚することもあります。受傷直後は踏ん張ることができずに転倒したり、しゃがみこんだりしますが、比較的痛みは軽く、しばらくすると歩行可能となることも少なくありません。
しかし、歩行が可能な場合でも、つま先立ちはできなくなります。
アキレス腱断裂部に皮下の陥凹(へこみ)を触れ、同部に圧痛(あっつう:押すと痛い)がみられます。うつ伏せで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強くつまむと、正常では足関節は底屈(ていくつ:足首を足底の方向に伸ばす)しますが、(トンプソンテスト)、アキレス腱が断裂するとこの底屈(ていくつ:足首を足底の方向に伸ばす)がみられなくなることが特徴です。
ほとんどの場合、通常のレントゲン検査では異常を認めません。
超音波診断装置(エコ一)検査では断裂の部位、断裂の状態を確認でき、またエコ-は治癒過程の観察にも使用できます。