サイレントマニピュレーション

〇凍結肩(難治性肩関節拘縮)に対して、麻酔をかけておこなう肩関節非観血的受動術です。

〇術後、早期に肩関節の動きをよくして、痛みの軽減が期待される治療です。

〇外来診療で行うことができます。

〇肩の動きに著しい制限のある方、また、改善に長く時間のかかっている方を対象として行います。

どんな治療?

①肩を支配する頚部(首)の神経叢周囲にエコーガイド下で、麻酔薬を注入します。

②肘や肩に感覚がなくなっているか、麻酔の効果を確認します。

③腕をゆっくりと全方向に動かし、固まっている関節包(関節を覆う袋)をはがします。

④マニピュレーション(徒手受動術)終了後は、術後の炎症や腫脹予防のため肩関節に麻酔薬を注射します。

⑤マニピュレーション(徒手受動術)後、翌日から理学療法士によるリハビリテーションを行い、硬くなっている筋肉の柔軟性や可動域(動かすことのできる角度)を向上させます。

これまでの治療との違い

従来、凍結肩の治療は消炎鎮痛剤の投与(注射や内服)・理学療法士によるリハビリ・機械によるリハビリなどが、治療の第一選択とされてきました。しかし、その効果は、長期間を要することがあり、その期間の我慢や不自由を強いられてきました。また従来のマニピュレーション(徒手受動術)は、全身麻酔下で手術室にて行われ、大きな断裂音が生じていましたが、サイレントマニピュレーションは、神経ブロック後に関節包を順にはがしていくため、手技中に発生する音は小さく、外来でおこなうことができます。

治療効果について

〇術後、早期から除痛効果・可動域(動かすことのできる角度)の改善が期待できます。
〇術後、翌日から理学療法士によるリハビリテーションにより、さらなる可動域(動かせる角度)の拡大が期待できます。
〇保険診療の範囲内で受けることができます。

治療を受ける上での注意点

〇はがされた組織や癒着部位からの内出血が生じます。後日、血腫や青あざが生じることがありますが、自然に吸収されます。

〇血液をサラサラにするお薬を飲んでいる患者さまは、術前に一時服用をとめていただくか、病状によっては行えない場合もあります。

〇患者さまの骨が弱い場合には、骨折や脱臼をすることがあります。また病状によっては、行なえないこともあります。

〇麻酔薬を注入するため12時間ほどは、うでがしびれて動きにくいため、運転によるご来院はお控え下さい。

〇マニピュレーション(徒手受動術)は、健康な可動域(動かすことのできる角度)を7-8割を目指して引き上げる治療です。回復具合には個人差がありますが、100%の可動域を取り戻せるわけではありません。

〇サイレントマニピュレーション実施後にリハビリテーションを継続することは、必要かつ重要です。

〇サイレントマニピュレーション実施後に、再度肩関節拘縮(固まること)を生じる場合もあります。その際に再度サイレントマニュピレーションを行うこともあります。

〇当クリニックでは、術日を含む4日間は毎日通院していただきます。

〇その他の細かい注意点につきましては、担当の看護師から診察時に説明をさせていただきます。